青山学院原監督の育成方法

今年の箱根駅伝で青山学院を2年ぶりの優勝に導いたのが原晋(すすむ)監督です。その原監督の指導法が話題になっていました。

原監督の指導理念は「選手として、男として自立させること」。そのために選手にはチームの目標だけでなく、個人の目標に向かわせるようにされたのです。

レース後の会見で原晋監督(54)は以下の様に述べられています。

 

この1年間は一度も選手たちを怒ったことがない。

「学生たちは自ら立つ『自立』、自分を律する『自律』を持っている。自分に足りないのは何か、課題、目標は何かというのを一人ひとりが考えて実行するシステムを、チーム全体で浸透している。それが強さ」と勝因を語った。

 

ある国に「馬を水辺に連れいくことはできるが、水を呑ませることはできない」ということわざがあります。
― 本人の意向を無視して「変わること」を強要したところで、あとで強烈な反動がやってくるだけです。
― 自分を変えることができるのは、自分しかいません。

 

馬を水辺に連れて水を呑ませようと思っても、そもそも馬に水を呑む気がなければ呑ませることはできません。それなのに、どうして水を呑まないんだ!と怒鳴り、力づくで呑ませようとすれば、猛反発され、馬との関係も悪化してしまうでしょう。

水を呑んでほしいのなら、呑むかどうかは馬に任せ、いかに呑みやすくするかを考え、援助していかねばならないのですね。

 

選手を馬にたとえるのも失礼ですが、原監督は選手との関係をよくし、練習の固定観念を壊し、選手に水を呑ませることを見事にお膳立てしたのですね。

 

 

課題に取り組むかどうかは本人に委ねられることをアドラー心理学では「自己決定性」といわれます。仏教でも「自業自得」と説かれ、自分に返ってくる結果はすべて自分の選択による、と教えられています。この真理を無視して本人が決めるべき課題に介入してしまうから、関係の悪化を招いてしまうのですね。子供に対してでも、部下に対してでも、本人が課題に積極的に取り組めるように援助することで、自立へと導くことができるのです。